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渾沌たる世界を問う 毎日新聞 [スズムシ日記]

渾沌たる世界を問う ジャック・アタリ

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スズムシ:毎日新聞が3日から表記を主題とした特集を組もうとしている。世界の知性は、どのようにアクションを開始しようとしているのか?評論で終わるのか。日本の柄谷は、そのようなスタンスから逸脱し、昨年にはデモの先頭に加わった、そして、9条を武器にして日本は世界と対峙すべきだと論じている。その主調に僕も同調する。毎日の特集の冒頭には次ぎのような序章が書かれている。「テロや内戦、ポピュリズムの大波にうたれ、2017年を迎えた渾沌たる世界。我々はどこに向かうのか。各国の知性に問うた。」と。アタリの言い分を繙いて見よう。

変質容易な「液状社会」

欧州連合(EU)離脱を決めた英国、大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利した米国が示すように、世界ではグローバリズムを拒絶し、保護主義を好む傾向が広がっている。また、欧州や混迷を深める中東などで相次ぐテロは、一瞬で現状を変化させる。日本もテロに見舞われれば、排外主義的な政府が誕生しうる。我々の住む現代社会は変質しやすく、液体のように極めて流動的な「液状社会」となったと言える。

 米国などで保護主義が高まる背景には、経済市場は世界規模だが、民主主義は世界を包括する規模ではなく政治が国家単位にとどまることがある。各国の選挙で選ばれた指導者は国境のないグローバル市場を変えられず、国内に生じたひずみに対処できない。富の一極集中で格差是正は不可能となり、失業や格差にあえぐ人々の不満が増大する。

 液状社会では、こうした不満を抱く有権者が、新しい物を欲する「消費者」のように振る舞う。国境を閉じて市場を国内にとどめようと、新たな指導者を「買い」求めるのだ。それがEU離脱を決めた英国や、トランプ氏が大統領となる米国が象徴するポピュリズム(大衆迎合主義)の源だ。

 トランプ次期大統領誕生で米国はロシアとの関係改善に動き出す一方、中国との関係悪化が現実味を帯びる。巨大軍需産業を抱える米国は常に「敵国」を必要としてきた。敵国役を務めてきたロシアと関係改善に乗り出せば、中国がロシアに代わる可能性がある。かつて自国と周辺国に関心が集中していた中国は、今や軍拡を続けて対外的に力を誇示し、米国と対峙する姿勢を打ち出している。米中の対立で太平洋は「不和の海」となる。太平洋で中国との「前線」に位置する日本は、米国の同盟国として難しい立場に置かれる。

 また欧州では、既成政党を批判するイタリアの新興政治団体「五つ星運動」が英国に次ぎイタリアをもEU離脱に導きかねない。イタリアを失えばEUは危機を迎え、ナショナリズムの再興を招く。仮にEUが瓦解すれば、1世紀の間に3度も戦火を交えたドイツとフランスの間で、何が起きても不思議ではなくなる。

 我々は、非常に不安定な世界で生きていくことを、学ばなければならないのだ。【聞き手・パリ賀有勇】


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