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この国の「壁」 [スズムシ日記]

ひとりでぶつかってみる

 朝日新聞「オピニオン 論壇時評」は近頃高橋源一郎さんがやさしい文章で雑誌等で展開された論評をピックアップしている。今回の主題は「ひとりでぶつかってみる」みんなあきらめないでがんばっている人がいるんだって思う。それも高橋さんの紹介がなければ分からないことだったので、sannkyuuと思う。そして今回の記事を見て、ユーチューブにまで僕の触手がのびたことを報告しておこう。3回連載にします。

 「衆議院選挙東京第25区の候補者に会って質問できるかやってみた」という動画を見ていて、途中で画面がよく見えなくなった(「衆議院選挙東京第25区の候補者に会って質問できるかやってみた:youtube.com」。どうしたのかと思ったら、涙がこぼれそうになっていたんだ。なんて、こったい!

 それは、ひとりの無名の青年が、自分の選挙区の候補者たちのところに出かけて質問をするところを(自分で撮影した)、どう見ても面白くなさそうなドキュメンタリーだった。そして、たいていの場合、候補者の事務所は、そんな青年の希望を、時にむげに、時にやんわりと断る。気が弱そうな青年の声、断られてしまった後の徒労感。ある事務所のスタッフは「マスコミじゃないんだから」と冷たく言い放つ。それでも、気を取り直して、青年はまた別の事務所をひとりで訪ねる。そして、この映像を見ていた者は、突然、この青年がぶつかって弾き飛ばされる「壁」の正体に気づくんだ。実は、その「壁」に、ぼくたちみんなが弾き飛ばされているってことにも。

 ぼくは、この動画を大塚英志さんの書いた文章で知った(大塚英志「ナベタくn(仮)の選挙:atプラス15号」。大塚さんが「ナベタくん(仮)」と呼ぶこの青年は昔の教え子で、色々あって「バイトも辞めて」「微妙に引きこもり状態」の「ナベタくん(仮)」は、特別な政治信条を持っているわけでもないし、誰かに頼まれたわけでもない。「誰かの役に立つかもしれない」と思って始めたんだ。

 そして、彼は「見たまま、聞いたまま」をそのまま記録する。そんな「ナベタくん(仮)」の動画を見た人たちは(少数だけれど)「とてもすごいことをしているのかもしれない」とネットに書き込み、大塚さんは「ばくもそう思っている」と書いた。うん、ぼくもそう思うよ。心の底から。

 「ナベタくん(仮)」がやったのは、「考える」ための材料を人びとに提供することだった。彼が提供してくれた材料には、どんなマスコミも伝えられなかった、貴重ななにかが含まれている、とぼくは思った。そして、それを「ナベタくん(仮)」はたった一人で始めたんだ。

(つづく)



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