SSブログ

終わりと始まり [切り抜き]

ホモ・エックスとの共生  異なる倫理とのバトル

 池澤夏樹さんの連載エッセイ「終わりと始まり」(64日付朝日新聞)は久し振りに夏樹さんらしい現状への異議となっている。激越ではないけれど、やんわりとした告発を伴っているから僕はすきな文章だ。作家の文章だからそのまま提出しておこう。

 

 今、この地球上にはホモ・サピエンスとは別の知的生命体が棲息している。仮にこれをホモ・エックスと名付けてみよう。

 ホモ・エックスは生命の定義を満たしている。外部から隔てられた内部空間を持ち、代謝を行い、時に分裂したり統合されたりし、個体として生まれて個体として死ぬことができる。

 (ここで大事なのは、俗に信じられているように進化はそのまま改善・改良ではないということだ。進化はまずは変化であり、その意味づけは環境との関係に依る。変化が有利ならばその種はその環境において栄え、不利ならは衰える。時には絶滅する。)

 さて、ホモ・エックスは我々ホモ・サピエンスとは共生関係にある。我々は彼らから少なからぬ利を受け、彼らも我々によって生かされている。しかし、両者の間には軋轢もあって、それがどうやら時と共に深刻化しているらしい。ホモ・サピエンスが滅びることはないが、ホモ・エックスの支配下に入って半ば奴隷のような地位に落とされる可能性は低くない。

(つづく)

 

スズムシ:謎めいたホモ・エックスの正体はもうお分かりだろう。でも、このような言い回しの論理はあまりお目にかかったことがないので、揺すられるものがある。次回はその正体を暴きながら、両者の片利的な関係をつまみ出すことになるだろう。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

こどもの日終わりと始まり その2 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。