「もの」の原点みせられた [切り抜き]
飛べ!フェニックス
朝日新聞夕刊連載「私のグッとムービー」には安西水丸さんの映画蘊蓄が語られています。水丸さんは42年生まれですから、もう70歳を越えたんですね。未だ健筆衰えを知らずってとこですね。加古さとしさんや水丸さんはいわゆるヘタウマの元祖だとおもうのですが、水丸さんのイラストはホントに味がありますね。近頃、女性校長が増えてきて、いわゆる確実な学力を問う文科省の出先機関として若い先生を口撃していますね。図工でも「何ですか、こんな汚い絵を描かせて!!」っていじめているようですね。青梅の若い図工の先生はたまらなくなって止めちゃったらしいです。うまい絵がいいのですね。校長先生は。だから水丸さんのイラストはきっと子どもっぽいって嫌いな筈です。
まあいいか。水丸さんの映画談義と行きましょう。
映画はほとんど毎日見ています。僕にとっていい映画とは「何度見てもおもしろい映画」。この映画もその一つです。輸送機がサハラ砂漠に不時着。救助を待つ中、乗客のドイツ人エンジニアがあることを思いつきます。壊れていないエンジンを使い、双発・双胴機を単発機にすれば飛べるのではないかと。苦難の末、改造した飛行機が飛び立った瞬間はやっぱりホッとしましたよね。
皆が彼を「飛行機の設計士」と勘違いしますが、実はモデル(試作)機の設計士。それを「おもちゃの飛行機」と言う機長に彼は憤慨します。「モデル機は、ライト兄弟が飛行機を飛ばす50年も前に飛んでいる。飛行機の設計理念はモデル機にあるのだ」と。このセリフ、感動しましたね。狩りの獲物を伝えようと描いたアルタミラの洞窟を見ても、僕は絵の歴史はイラストレーションから始まったと思っているんです。それと似ている。人が作る「もの」の原点とはこういうものではないかと、見る度に思うんです。
主役は機長役のジェームズ・スチュアートで、エンジニア役のハーディ・クリューガーは言ってみれば脇役。でも、いい味出していますよね。映画を見ていて思うのは、脇役がいかに大事かということ。脇に何を添えるのか、僕がイラストレーションを描く時、そこは映画から影響を受けているのかもしれません。
歩くだけで印象に残る役者はいますから。本当の個性って、そういうものだと思うんです。
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