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熱血与良政談 与良正男 2月10日 [スズムシ日記]

これでは議論にならない


前々回のこのコラムで神戸市の女子高校生から「国会の質疑は相手をやり込めることばかり考えているような気がする」と質問された話を紹介した。最近、一段とその傾向が強まっているように思える。もちろん安倍晋三首相の答弁である。

 例えば4日の衆院予算委員会。

 民主党の大串博志氏が「安倍首相のもとで憲法改正の議論が行われることに危機感を覚える」等々と批判すると、首相はこう反論した。

 「私にそういうことを言うなら(民主党が憲法改正草案を)出してみてくださいよ。御党がまとまるならばね」「民主党が立党されてからずいぶんたったが、成果は何も出てきていない」

 これでは議論にならない。

 確かに憲法に関する民主党内の意見はまちまちだ。民主党は亀裂を恐れず、意見をまとめる必要があると私も思う。だから首相は「どうだ。弱みをついて、やり込めてやった」という心境だったろう。

 しかし再三書いてきたように、憲法のどの条文を変えるのかという話の前に、まず必要なのは「そもそも憲法とは何か」という議論だ。

 首相が「私たちは提示している」と胸を張る自民党の憲法改正草案を読むと、どうも首相らは憲法とは国民を縛り制限するものだと考えているフシがある。そうではない。憲法は権力者の暴走を防ぐためにあるのだ。その点を確認しないで改憲論議に進むのは危険ではないか−−と指摘するのは、決して首相が言うように無責任でも思考停止でもない。

 改憲の一つのテーマとして浮上している「緊急事態条項」もしかり。自民党の改正草案は、武力攻撃や大災害などが起きた場合に首相は「緊急事態」を宣言できて、国民は国や公共機関の指示に従わなくてはならないという内容だ。果たして憲法に加える必要があるかどうか、冷静な議論がいるし、その前提として「権力は暴走しない」という国民の信頼がないと成り立たない。

 首相は改憲を志向する政党だけが真摯(しんし)で勇気があると言いたげだ。私は憲法は変える必要があれば変えればいいと思っているが、首相の短絡的な決めつけこそが議論を、そして思考を停止させてしまうと思う。今、改憲の必要はないというのも一つの対案なのだ。


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